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異説(一)

北の竹林には近づいてはいけないよ
背高く伸びる竹は導きの星を隠してしまうし、常に立ち込める霧は足と目を奪ってしまう
そして何よりも、竹林の奥深くには「鬼子」が囚われている
不幸になりたくなくばけっして近づいてはいけないよ


異説 ・ 異鬼譚



「鬼子、おい、おい」
「……そんなに大きな声を出さなくても起きているさ」
起きているとは言ったが俺が声をかけるまでは寝ていたのだろう。鉄格子の向こうの隅で丸まっていた影は気だるげな声で返事をすると上半身を起こして四つん這いでこちらに近づいてきた。
「握り飯を持ってきたんだ。一緒に食べないか」
そう言って葉に包まれた白い塩むすびを鉄格子越しに見せると、大きな瞳が顔から零れんばかりに広がりきらきらと暗い小屋の中で煌めいた。苦笑をこぼしながら格子の間から葉ごと差し出してやると、獲物を見つけた蛇のように白い手が素早く握り飯を絡めとった。
「そんなに急いで食べるとのどに詰まるぞ」
と嘆息しながら横目で見ると案の定ぐうぐうと唸りながら胸を叩いていた。慌てて竹筒を渡すと筒を口元で逆さにして勢いよく喉に水を流し込んでいく。が、勢いがつき過ぎたのか今度は咽こんでしまった。慌ただしく動く姿に俺は思わず吹き出す。
なんと「人」らしい姿だろう。
なんと「鬼」らしくない姿だろう。
口の周りに米粒をつけながら照れくさそうに苦笑をこぼす姿はあまりにも人であり、故に彼がいる環境の異質さが際立ってしまう。
竹林の奥深く、灯りが少なくかび臭い木造の小屋の中で塩結びを嬉しそうに頬張る目の前の人物は、近隣の村では「鬼子」と呼ばれ恐れられていた。


+ + + + + +


"北の竹林には近づいてはいけないよ
竹林の奥深くに囚われている「鬼子」に喰われたくなければけっして近づいてはいけないよ"

大人達によって作られた怪談話などよくあるもので。
理由は大体子供を危ない場所に近づかせない為だったり、何かを隠したい為だったりする。
どのような理由であれ大人からもたらされた未知のものの存在は未発達の子供たちの心を揺さぶるのだ。
話を聞かされた子供たちの大半は怯えて大人しく言いつけに従ったが、好奇心に満ち満ちた一部の子供には恐ろしい怪物は興味の対象となった。
俺は後者の子供たちの中でも特に好奇心が強かったらしく、話を聞かされてからひと月もしない内に北の竹林に足を踏み入れた。
珍しく霧が晴れており、空に血を一滴たらしたような月が良く見える夜のことだった。


竹林に通い詰めるようになってからもう二月が経とうとしている。
こうやって共に食事をするほどに俺と「鬼子」はすっかり意気投合していた。
やっと落ち着いたのかゆっくり塩むすびを頬張る「鬼子」をまじまじと眺めた。
そもそも「鬼」とはこの国では人の姿からかけ離れた異形の者を指す。頭に生えた巨大な角に赤い肌、人の何倍もある巨躯は人を軽々と握りつぶせるほど。大人たちが語る「鬼」の姿は様々だったが、どれもこれも「鬼」と呼称するにふさわしい怪物の姿を想像させた。
目の前の「鬼子」はどれにも当てはまらなかった。
頭まで覆っている昏い外套の下の肌は白く、地面にちぢこまって座る痩躯は立っても背丈は自分とそんなに変わらないだろう。薄い布の下の頭は丸く、布に覆われていても角などないだろうと予測がついた。
ただ一つこの「鬼子」が異形のものと呼ばれるに相応しいものがある。
まだ幼さの残るやわらかな顔に埋め込まれた琥珀と翡翠の異彩の双眸こそが「鬼子」が「鬼子」である所以だった。


「鬼子」は橙と緑の左右異彩の瞳を持って生を受けた。
村の権力者一族の子として生まれなければきっと闇に葬られていただろう、実際村の者からは気味悪がる声が多かったらしい。
情と立場により生かされたがやはり世間体が悪かったのか、生まれて早々に屋敷の座敷牢に閉じ込められた。
そのまま不便はないが自由もない人生を送る筈だった。
しかしある日流行病により「鬼子」を残した一族全員が命を落とした。
しばらくして一族の腹心であった人間が村の新しい権力者なった。
そうなると「鬼子」は瘤でしかない、臭いものに蓋をするように日も届かないほど霧深い竹林の最奥の小屋に「鬼子」は移され今に至る。

握り飯を食べ終わって満足げな「鬼子」に俺は常々考えていたことを提案した。
「外に 出てみないか?」
同情かもしれないし、憐れみかもしれない。しかしそれ以上に俺は異彩の「鬼子」に惹かれていた。
年の割に無邪気で年の割に達観したこいつをもっと知りたいといつからか思っていた。
鉄格子には鍵が掛かっていたがそもそも皆この小屋に近づきたがらないので、鍵の管理は粗雑だ。盗むのは容易いだろう。小屋から出たらすぐにこの国を発って。
そうして自由になった「鬼子」と俺の故郷に帰ろう。他の国を見て回るのも悪くない。
そうだ、鉄格子の中しか知らないこいつに様々なものを見せてやりたい。
異彩に映る世界がどんなものかを見てみたいのだ。

「俺と一緒に世界をみにいこう」
呆然としていた「鬼子」だったが、ほどなくして満面の笑みでこくりと頷いた。


+ + + + + +


駆ける、駆ける。
がむしゃらに足を動かしてとにかく先を目指した。
竹林を抜け、海食崖沿いを走る。浜辺にさえ出てしまえば船が用意してある。……国を出る事が出来る。
走り慣れておらず何度も転びそうになる「鬼子」を支えながらも前へ、前へ。
後ろからはは幾十もの明かりが俺たちを追ってきていた。
鍵を手に入れるところまでは上手くいったのだ。だが、警戒されていたらしい。俺が頻繁に竹林に赴いていたこと事などとっくに知られていたのだ。
……追いつかせるものか、俺たちの邪魔などさせるものか。
足はそろそろ限界だったが、気力は十分だった。
コイツとならば何でもできる、不思議とそんな確信が俺にはある。
唐突に視界が開け船が泊めてある浜辺が見えた、思わず笑みを浮かべれば「鬼子」も息を切らしながら笑った。
つないだ手に自然と力がこもると同時に視界が赤く染まる。
熱いほどの激痛が手から力という力を奪い、つないでいた手が離れていく。
身体のありとあらゆる場所から力が消えていき、ぐらりと視界が回る。

遠ざかる「鬼」と地上を最後に俺の視界は闇に飲まれた。


―――――――――――――――――――――――
鬼は異彩の双眸で輝を見る
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雑文(ユベ十)


リハビリに書いていたものを晒しあげ。
雑文です。新年早々に上げるような内容じゃないです。
※悪趣味全開、グロ成分大目のユベ十です。
人もぐもぐの描写がありますので閲覧にはお気を付け下さい。

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捨てていいのは愚かさだけ。そうすれば生き残れる。

どんな冒険にも最初の一歩が必要だ。陳腐な言い方だが、けだし名言だね。

最近アリスインナイトメアの続編が出ると聞いて今からワクワクが止まりません。
結構古いPCゲームですがとても面白いです。その美しいステージと雰囲気に絶妙に合った音楽が堪りません!
あとアリスとチェシャ猫が大変男前。グロホラーが苦手なかたにはきついゲームですが。
出たら即買い決定。


以下、アリス→十代、チェシャ猫→ヨハン、赤の女王→にじゅ様 でちょっとだけ妄想文。
アリスパロは夢がいっぱい。

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