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雑文(ユベ十)


リハビリに書いていたものを晒しあげ。
雑文です。新年早々に上げるような内容じゃないです。
※悪趣味全開、グロ成分大目のユベ十です。
人もぐもぐの描写がありますので閲覧にはお気を付け下さい。



空が白け始める頃はとても静かだ。
あと一刻もすれば鳥が鳴き始めるだろうが、今はかすかな風の音が心地良い。
それをかき乱す咀嚼音さえなければ清々しい一日が始まったに違いない。
空を覆う白と黒のアスファルトを覆うように広がる赤を見比べて、ユベルは顔をしかめた。
「十代、そのくらいにしておいたらどうだい?」
咀嚼音のもとに話しかけると、音の主はごくりと一度飲み下した音の後に真っ赤な口を開いた。
「あともうちょっと待ってくれ。一週間は何も食べてないんだからさ」
十代が物を食べる様がユベルは好きだった。
夢中で口の中に目一杯物を頬張る姿は幼子のようで大変可愛らしい。
人が物を食べる様は幸福を与えるものだと言うが嘘ではないだろう。
きっと十代が食べているものがパンであれば、ユベルは目尻を下げながらその姿を眺めたに違いない。
いや肉の塊だろうとその肉が何の肉かなど聞かずに微笑ましく見つめた筈だ。
十代の腹が大きく開かれている事さえなければ。

雑にめくり上げられた皮膚の下を横目で見る限り今日も肝臓のあたりだろうか。
彼は何度か自分を食卓に並べたが、ここ数回は決まってその辺りの肉を選んだ。
「足なら不自由はしないけどさ、骨が邪魔だろ?手はもっと駄目だ。デュエルが出来なくなっちまう。骨から肉を剥ぐ位なら中の方が手っ取り早い」
「ここならそこそこ大きいから一つで腹も満たされるんだ」
と、にこやかにユベルに話した後からは決まって肝を食すようになった。

彼は悪食なわけではない。ましてや悪趣味なわけでもない。
十代がこういった行為に及ぶにはそれなりの理由と環境がある。
今彼の前に広がる食卓は白いテーブルクロスに包まれた食卓などではなく、砂埃に埋もれたアスファルトだ。
咀嚼音しか聞こえないのも朝方だからと言う理由ではない。
この場所には人が居ないのだ。正確には心臓が動いている人間が居ない。
歩いている最中にいくつか見かけたがどれも既に物と化していた。
十代が今いる場所は戦いが走り去った場所だった。
金を持っていても取引する対象が居なければ、紙屑にしか過ぎない。
街に在ったはずの食料は、持ち去られたかそれとも食べ尽くされた後だったか。
つまり運悪くそんな場所で空腹を耐えかねた十代にとって、食べられる物が自分か他人かその二択だったのだ。

「胃さえ食べちまえば、腹が減るなんて事はなくなるかなって思ったけど、そう上手くはいかないな」
ぽつりと十代が呟いた。
「君は食べることが嫌いなのかい?」
「そうじゃない。食べることは大好きさ。ここ一か月くらい食べてないけどパンもご飯も大好きだぜ」
おにぎりが食べたいなあ、と肉の塊を頬張りながら郷愁に浸るように十代は言う。
「でも飢える事さえなければ、こんな不毛なこともしなくて済むかなって」
「不毛な事だと思うなら、その辺りに転がっている奴らを食せば良いじゃないか。どうせ死んでいるんだし見ている奴らなんて居ないさ」
何度と繰り返した問答だ。返ってくる言葉は分かりきっていた。



食べ終わったのか十代は背を壁に預けるとそっと目を閉じた。
食後の一眠りという所だろう。
普通であれば臓器が欠けたまま処置もせずに眠りについたら永遠に目覚めはしない。
だが十代にとってはほんの一時の休息でしかない。
太陽が天高く上る頃には開いた腹も欠けた臓器も何事も無かったかのように元に戻る。
そして元の血色の良い肌を取り戻し、目覚めた後は伸びを一つして人としての営みを始めるのだ。
眠る十代を眺めながらユベルは先ほどの答えを思い出す。
「怪物みたいな事出来ないなんて、」
もう君は既に怪物だろうに。

十代が目を覚ましたら一刻も早くこの紛争地帯から出よう。
足で夕刻までに出られないならネオスに担がせる手もある。走るよりかはずっと早くこの地域からは出られるはずだ。
活気がある場所じゃなくてもいい、動物が住んでいる場所であれば食物はいくらでも確保できる。
ここまで計画を考えておかしいね、とユベルは苦笑を漏らした。
「僕は君に人で居て欲しいみたいだ。だってね」
人と怪物の間を彷徨う君ほど美しいものはないんだもの。


怪物にならざる人



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
BGM:「名前のない怪物」EGOIST

こんな事を書いておいてなんですが、食料がなくなったら死に物狂いで探しそう。
ユベルさんマジ良妻。

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